北京オリンピック観戦記その2

 さて2回目はサッカー決勝のアルゼンチン対ナイジェリアの戦いについて書かせていただきます。まずは「鳥の巣」スタジアムについてですが、テレビで見るよりもあの鳥の巣を構成している鉄の柱というか線は当たり前ですがすごく太い印象です。中に入って1階席に座ってみると、天井には参加国の国旗がずらりと並び、「ああ、本当に世界中からいろんな国が参加しているんだなあ」という気がしました。

 こういう世界一を決めるような試合を生で見られる幸せをしみじみとかみ締めながら試合開始を待ちました。「今、ここにいられることは本当にありがたいなあ」と思っていました。試合が始まるとそのスピード、迫力、テクニックに心底、圧倒されました。本当にすごい!の一言です。噂のメッシもすごいですが、それ以外にもすごいスピードでナイジェリアの守備陣を切り裂く選手が二人くらいいましたよ。前半の前半は正にアルゼンチンペースで、2回くらいはゴールかと思われるシーンがありました。その後は逆にナイジェリアがペースをつかみ始め、徐々に盛り返し今度はナイジェリアがゴール!と思うシーンが2回くらいありましたかね。前半は結局0-0のまま終了です。

 何しろ攻守の切り替えスピードがとてつもなく早いんで、さっき敵陣で「ああ、惜しい!」と言っていたら、もうその数秒後には自陣で「あっ危ない!」ってな感じです。正にハラハラドキドキ、と言う感じです。後半、アルゼンチン・メッシからの絶妙のスルーパスで抜け出たFWが、ゴールキーパーとの一対一の場面を落ち着いて決めて遂に均衡が破れました。そのシュートも、ゴールキーパーの動きを良く見た、技ありのゴールでした。得点は結局この1点だけだったのですが、本当に「入った!」と思う瞬間がそれぞれのチームで2回ずつ位あったんではないでしょうか?シュートもすごいし、それをまた紙一重でクリアする守りもすごい。打ちも打ったり!、守るも守ったり!、共に天晴れ!という感じで、心から興奮させていただきました。

 しかしその得点後のアルゼンチンの時間引き延ばしの徹底振りには呆れつつ、このずるさが世界のトップを取るためには必要なんだ、と思いました。そんなにひどい負傷でもなさそうなのに堂々と仰向けに寝転んでしまう選手にはあ然としました。「この大観衆の期待が高まる前で、良くそんなことができるな!」と言う感じです。その他の遅延行為にレフリーから2枚もイエローカードが出されたのですが、そんなことはどこ吹く風、と言う感じで遅延行為を繰り返していましたよ。選手交替もほんとにゆっくりで、見ていている我々がイライラするくらいでしたからナイジェリアの選手はもっとイライラしたでしょう。でもそれはアルゼンチンの思う壺ですよね。これもさすが!と言う感じです。そのまま1-0でアルゼンチン勝利で勝負は決しました。

 その夜は同じメインスタジアムでの陸上観戦でした。槍投げの決勝や、女子走り高跳び決勝、女子800m、男子1500m、男子5000m、男女4×400mなどを観戦しました。正直言って最初は陸上に期待していませんでした。でも見てみると実に面白いんですね。いろんな種目によって選手の体格も違うし、強い国も全然違って、いろんな楽しみがありました。槍投げはノルウエーとかフィンランドと言った北欧が強いんですね。また中・長距離はやはりケニアとかエチオピアとかアフリカ勢が強い。走り高跳びではクロアチアとか、ベルギーが強かったです。4×400mは男女ともアメリカが強かったです。もちろんジャマイカも頑張っていました。そして陸上のアスリートの鍛え抜かれた体はそれぞれ本当に美しいと思いました。その体が緊張の中躍動するのはまたサッカーとは違う魅力ですね。

 もう一つ感じたのは観戦する人が正に世界中から集まっている、ということです。槍投げのときは北欧の人々が自国の国旗を一生懸命振っているし、長距離のときはアフリカ勢、私のまん前にはドイツの人が応援していました。アメリカが活躍すれば当然星条旗があちらこちらで誇らしげに振られるし。同じルールの下で世界の人がここを目指してがんばって、今ここにそのトップが終結しているんだ、という感慨がありました。大げさに言うと、国は違えどもみんな人類という同じ万物の霊長なんだ、という感じがしました。このオリンピックで掲げていたOne world,One dreamという感じですかね。今回はチベット、ウイグル族などの民族問題も抱えての開催でしたから、現実は違うのだろうけれど・・・。

 翌日は帰国前に男子・マラソンを路上で応援しました。そのときには日の丸を持って6人ほどで応援したのですが、たまたまガイドの峰さんが中国の国旗を入手してきたので、みんな日の丸の上にそれを挿して応援していたんです。すると思いのほか中国の人が喜んでくれて、いろんな人が写真を撮ってくれました。峰さんいわく、20年前だったらきっと日の丸を持って歩いていたら、後ろから押されたり、体をぶつけられたりされただろう、と言っていました。今回も日本選手に対するブーイングもあったようですが、我々はこの二つの国旗を掲げたことで実に友好的に応援できました。翌日、日経新聞の社会面に「マラソンで日本人だけが中国も応援してくれてうれしかった。」といった中国人の記事が出ていたのですが、これってもしかしたら我々かも?と一人でうれしくなってしまいました。

 本当に充実した2泊3日でした。いろいろな感動と、いろいろな変化に気付かせていただき、やはり現場に行かねば駄目だな、と実感しました。しかしやはり総括するならば中国が国家の威信をかけて、力づくで何としても成功させたオリンピックだったんだな、ということでしょうか。100万人の治安部隊を私服警察も含めて北京に投入したと峰さんに聞きました。約12人に一人が治安部隊ということになります。きっと至る所にそういう人が目を光らせていたのでしょう。表向きは本当に華やかで自由で開かれたイメージでしたが、その裏には国家のパワーが徹底的に働き統制を取っている、という感じを受けました。でもこれで中国は国際社会での位置づけも、また国内としても大きく変わったことは間違いないのでしょう。オリンピック後の北京、中国に一層注目していきたいと思います。

この記事のトラックバックURL:

http://moms-table.com/cgi-bin/mt-tb.cgi/2597

コメントを書く

プロフィール

社長写真

株式会社はくばく
代表取締役社長
長澤重俊

1966年ひのえうま生まれの45歳。
東京大学ラグビー部卒。(本当は経済学部)
住友商事を経て1992年はくばく入社。
趣味はゴルフとワインかな?
今年のヴァンフォーレ甲府がJ1で大活躍することを心から期待しています。