穀物相場の高騰

 今アメリカ・シカゴの小麦相場は、1ブッシェル=$8.5という歴史的な高値をつけて推移しています。これまれ小麦相場と言えば$3〜4/ブッシェルというのが大体のレンジでしたが、①トウモロコシのエタノールへの転用、②中国、インドなどの食糧事情の変化(畜肉の消費増大=穀物を餌として使用)、③オーストラリアなどの干ばつによる凶作という3つの大きな要因が重なってきて、このところ$4〜5/ブッシェルという相場をつけていました。それがこの春先から何とさらに信じられないような高騰を続け、あれよあれよと現在の$8.5という相場となってしまったのです。

 ちょうど今日本では小麦に対する自由化が始まったところでして、この4月には変動価格制度の導入がなされ1.3%の値上げとなりました。これは年二回変動させることになっていまして、この10月には上記のような国際相場の高騰を受けて10%値上げとなりました。さらに来年の4月には10%の値上げが確実視されています。しかもこの10%と言うのはあくまで政策的に設定された取り決めでして、それがなければ来年の4月には20%を越える値上げもありうるのです。そのためこの値幅制限が本当に良いのかどうか、これも議論の対象になってきているという状況です。

 The Kokumotsu Companyを企業コンセプトとする当社にとっても、これは大変な大きな経営環境の厳しい変化です。原料となる小麦、大麦が高騰しているのですが、それはなぜなのか、そして今後この相場はどうなっていくのか、これはもっと勉強しなければいかん、ということでまずは『食糧争奪』(柴田明夫著、日本経済新聞出版社)という本を読み始めてみました。

 まだ読みかけなのですが、基本的にわかったことは今回のこの相場は決してファンド筋などの仕掛けによるマネーゲームなどではなく、穀物が抱える構造的な原因によるものだ、ということです。つまり人口はこれからも急激に増大する、そしてその増大した人口の食糧事情も畜肉を食べ、餌として穀物をさらに必要とするようになるその一方で、輸出国はもうそれほど輸出増産余力はなく、温暖化などの影響もあり結果的に穀物在庫は減っていく、と言う構造です。

 そして改めてわかったのは穀物の貿易と言うのは「薄い市場」であり、総生産量の10%程度しか国際的には流通しない、ということです。だから小麦で言えば総生産量6億トンのうち、6千万トン程度しか貿易量がなく、その中の有力輸出国であるオーストラリアで1000万トンの減産が起これば6分の1も量が減ってしまう=相場高騰、ということになると言うことを知りました。

 「うーむ、これは大変なことになっているんだ」と思いました。しかし一方で日本の主食であるお米の相場は?というと、19年産の新米市場は米余り現象の中で何と下げ基調で始まっています。世界の穀物相場とは全く逆の動きをしている、ということになるのです。ものすごく不思議な感じがします。そして大変な危機感を覚えます。というのは、この下げ基調の中で生産者である農家もかなり疲弊しており、今後もお米を作り続けるだろうか、と言う不安です。つまり日本の農業の根幹が揺らぎ始めている、という感覚です。もし小麦相場は高騰を続け、最悪量の確保すら制限されたとき、国内の農家は既に高齢者が引退し生産力はなく、お米すら国民の必要とする量が作れなくなっている、なんて事態は起きないのでしょうか?

 いたずらに不安をあおることは目的ではありません。でも今の世界的な食糧事情というものを冷静に捉え、日本の農業もしっかり見直していく時期であることは間違いないでしょう。そして流通関係者もこの構造を学んでいただき、ともにこの豊かな「日本の食」というものをこれからもしっかり続けていくために協力していくべきだと考えております。単純に値上げすれば良い、ということでもなく、本当に必要な施策なのか、無駄は減らせないのか、という観点から食品の流通というものも見直す時期に来ている気がします。

 私にとっても企業経営者としての課題であり、一国民としての課題でもあると思いました。この大きな問題について、もっと勉強し、自分の頭でしっかり考え抜いて行動して行くこと、これが今課せられていると思っています。

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コメント

こんにちは、愛知県小牧市の中嶋です。
日曜日の名古屋市の勉強会で初めてお会いして
名刺交換させていただきありがとうございました。

穀物相場の高騰がある一方日本のお米の下落。
NHK特集のライスショックを見ましたが農家さんも
たいへんな局面がきていることを感じました。

ネット活用による情報提供の案内文を営業本部販売促進G からいただきぜひとも推進していただき
米屋さん同士の情報交換を願っています。

お久しぶりです。
流通業界に携わるものとして思うことは、相場は正直なものと言うことです。
高くなれば、消費は冷え込み。
安くなれば、消費は高まります。
消費が高まれば、相場は変わる。
相場が変われば、世の中の動きは変わります。

日本の食糧事情も、安全、安心、国内自給率と、大きな流れが出てきています。
これまでの流れとは大きく異なることになると思っています。

舵取り大変でしょうが、羅針盤の読み違いのないように願っています。

食品はこれから安くなることは無いと考えています。

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プロフィール

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株式会社はくばく
代表取締役社長
長澤重俊

1966年ひのえうま生まれの45歳。
東京大学ラグビー部卒。(本当は経済学部)
住友商事を経て1992年はくばく入社。
趣味はゴルフとワインかな?
今年のヴァンフォーレ甲府がJ1で大活躍することを心から期待しています。